よこしま

ばべる。 天井を見上げる。不意に立ち上がって、踵を浮かべて、そこに触れてみたくなったりする。ふくらはぎに断裂するような痛みが走って、崩れるようにベッドに倒れ込む。枕とブランケットと本の束が引っかかって、なんだか、瓦礫ってこんな感じなのかなと、不思議と憶測が広がる。 ばべる。 やはりそう口にしてみたくなる。音にするとポップに聞こえる。よくわからないけど動詞みたいにも聞こえる。いいや、今日はばべらないよ、母さんに叱られる。そんな会話がどこかにあってもいいくらい、不自然な気はしない。 バベル。 不意に起き上がって、ノートに書きなぐってみる。こっちは、どうやら硬質な感じがする。さっきのそれは日本語で、こっちのこれは英語みたいな。バベingとでも言おうか、edなんかつけて過去形にしようか。そんなのが似合うと思う。 「くっちゃべる」みたいなやつがあった気がする。あれもおそらくは一種なのだろう。くっちゃばべる。北半球に国々を構える歴戦の大帝国が使ってた、現在の言語の祖語にあたる。そんな言葉が載ってる辞書が図書館にあって、数千ページとめくり続けたら、ひっそりと隅の方に掲載されている。 ばべる、バベル、ちょっとばべってくる、チョット・バベッテクル。動詞、名詞、活用例、人名。 まあ悪くはないと思う。世の中不条理だから、辞書の中でよろしくやってくれても。 図書館が無限に広がるなら、なんだってありなわけだし。
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Je dois m'ennuyer 11.4 ~