母の愛

母の愛
 前を走る白い軽自動車が蛇行運転している。警ら中の俺は停車を指示した。  パトカーを降り、路肩に停まった車に近づくと運転席には誰もいない。髪の長い女が運転していたように見えたが…。  後部座席に目をやると、ガリガリの幼児がぽつんと座ってこちらを見ていた。保護者の行方を問うと 「ママはね、オバケだけど僕を助けてくれたの。」  調べると幼児の母は1年前に病死しており、幼児は父と父の恋人から日常的に虐待を受けていたことが分かった。  死してなお我が子の幸せを願い守ろうとした母の愛を思い、俺はガラにもなく胸が熱くなった。田舎のおふくろを思い浮かべる。今年の正月は久しぶりに実家に顔を出そうか。
ごご茶
ごご茶
主にTwitterで投稿した創作を小説サイトにあげていってます。暗い話とふざけた話が好きです。 https://twitter.com/teagogo5