間話ニ 『ブラックマーケット』

六月十一日 日曜日 「ミルバ、今回の報酬だが、どうなってる?」 仕事から戻ってきたヒエンはパソコンをいじり続けているミルバに声をかける。 今回ヒエンが受けた仕事はそこまで難易度が高くなかっただけにあまり報酬は高く取っていない。 しかし最近の彼らはお金やお宝よりも、『お宝の情報』を基本的な報酬とし、その報酬が払えない場合はお金やお宝をもらっている。 二ヶ月前、彼らは面倒で難易度がとても高い仕事を受けた。 それは『魔眼』、もしくは魔眼を持つ者を連れていくことだった。 魔眼はエルフが持つ特殊な力を持つ眼のことだが、エルフなら誰でも持っているわけではない。 魔眼は始祖のエルフが持っていたもので、しばらくは代々その力が受け継がれていったのだが、次第に力が弱まっていき今となっては形すら残っていないらしい。 しかし依頼主はどこぞの我儘なおぼっちゃまであるらしく、全く話を聞かなかった。
カクテル