百合の色

百合の色
剪定バサミを握り、白い百合の茎を慎重に挟む。パチンと金属部分がぶつかり合い、大きな花弁がぽとりと落ちた。俺は百合の頭をつまみ上げ、水をたっぷり張った水槽にそっと浮かべる。 「ひどいのね」 水槽が透明なガラスのショーケースのように、きらりと光を反射する。底には軽石が規則的に並べ、敷き詰められており、その上を百合がすいすいと泳ぐ。真っ白な金魚だ。手のひらが水槽の壁に触れる。 「どうして、こんなことを」 すらりと伸びた華奢な首、ふっくらと膨らんだ白い頬。部屋の隅に添えられた君は、蜜のように甘い視線で、いつも俺を見つめてくれた。瑞々しく健気な姿で、いつも微笑みかけてくれた。俺はその顔が好きだった。だから今、そんな悲しげな顔を見せるのは止めてくれ。昔の姿のまま、この場で散ってくれないか。
Yameta