壊れかけのピンクローター
結婚して一ヶ月。新婚ほやほやの私たちは、毎晩のように体を交わらせている。
たまに使う道具の一つに、ピンクローターがある。とは言っても色は薄紫色なので、正確にはパープルローターだ。
壊れかけで、時々動作のおかしくなるピンクローター。
「綾香はこれが好きだよね」
そう言ってローターを手に持つ彼は、意地悪そうな、でも嬉しそうな顔をしている。
私はマゾの気質があるので、そんな彼の表情が好きだった。わざと反抗して、やり返されるのにたまらなく興奮するのだ。
事が終わり、二人ベッドに横たわる。深夜一時。明日も仕事の夫は、わたしを腕に抱いたまま夢の世界へとダイブしてしまった。
ベッドの端に転がるピンクローター。これには、夫には決して言えない秘密がある。
このローターを手に入れたのは、数年前。当時夫とはまだ出会っておらず、私はフリーだった。
そんな時期だ。義博(よしひろ)と出会ったのは。その出会いは非常に陳腐なもので、当時多く広告を出していたマッチングアプリだった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2021/10/13 16:15
サーモンハンバーグ
小説やらを書散らす、自称小娘です。
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