愛と恋と、罪の違い

愛と恋と、罪の違い
揺さぶる、まだロストしている。ひたすらに、肌の形は覚えているか。なめらか、少し乾燥して、緩む。びくんと身体が、のけぞる。気持ちいいだろう、そういう声がすれば、ぎゅっうっと全てが締まる感覚が駆け巡っていた。泣いた、君が泣くように、騙される方が悪いと、音を拾う。くちゅっと唇を落とした先に、悪きざまに君が、少しの悦びを笑みにして。うわぁお、そう呟けば、斜めがけに愛が萎れていった。 悪魔は、いつも、右側からやってくる。君はいつも左側から、俺にキスをするだろう。ちゅっと、言い訳じみた月並みの言葉が、上唇に乗る。少しの、喜びが、君に必要だよ。笑わせてくれるような裸を見せて、それを摘む。くりっと動かして、指は細くあろうと。俺のじくじくと疼く夢をはやく、はやく、砂漠まで。砂が降り注ぎながら、シーツは滑らかに。悪魔が、気持ちいいだろうと呟けば、俺の薬指は、ふやけて。あぁ、また、出した。 カーテンの隙間に、いる、俺の女神。シーツに包め、ドラムが止まらない。かけたラジオのノイズ、ツーフィートに合わせて、あぁと吐いた。少しの、楽しみが、君を満たすんだよ。ぐちゅっ、じゅっぽんと、抜けた音がした。添えた手のひら、舐めた舌先に滲む、道徳。穏やかに、三月が、なめた匂いと東京を運ぶ。いいね、そそるね、また、そんな口説き文句、ラインアップはプレイリストほど。揺れる尻のもっちり具合、俺の喉が上下。見せてくれ、あぁ滑り落ちる。響く水、それすら、淡い光の東京の一角。また、薬指が痛んでいた。 「っ叩いて」 「よろこんで」 少しの、感じかたに、俺も。熱く火照る、そのくっきりと残る手形。付き合い立てが、一番楽しい。あとは、テキーラ・サンライズ。喉越しすら焼けつく、甘い酒を飲み干して。誘い文句は、君の、それとも、俺のと。油断は許されないから、履歴は非通知。薬指に、帰りの鍵がちらつく。パネルを見つめながら、君が選ぶ。高いのにすればなんて言いかけたのは、はやく、はやくと。受け付けの女の子、俺と、君の、違いがバレる。ちりん、そう鳴るエレベーター。服を脱がせにきて、スカート中身に、じっとりと汗をかいた。 ほんの少しの喜びが、君に必要だよ。少しの、リトルプレジャー、いまはまだ。揺れるのは、なぜと聞けば。君は、とても、素敵なのと囁く。 ベッドサイドに、俺のスキン。肌も、赤く染まり始めて。外も、ぴりり、アラームが鳴る。赤く染まり始めた、窓の滲み。くちゅくちゅ、ぽたり、いいね、と夢がぱちんと覚めた。 「ぁあ、いじめて」 「あぁ、お望みなら」
西崎 静
西崎 静
コツコツ書いていきたいと思っております。よろしくお願いします!成済