紙の森の呼吸
本屋の匂いって、どうしてあんなに落ち着くのだろう。
扉を開けた瞬間、ふわりと鼻に届くあの空気。紙とインクが混ざり合った、少し乾いた匂い。新品の本の、まだ誰にも触れられていない静けさと、長く棚に並んできた本の、時間を吸い込んだような深さ。その全部が一つになって、あの場所だけの空気を作っている。
私はあの匂いを嗅ぐと、不思議と呼吸がゆっくりになる。
急いでいた足も、いつの間にか止まってしまう。目的の本があったはずなのに、気づけば違う棚の前に立っている。背表紙を指でなぞりながら、「この中にはどんな世界があるんだろう」と想像する時間が、たまらなく好きだ。
本屋は、ただ本を買う場所じゃない。
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2026/4/28 16:34
月詠 雛
04(21) 夢で実際に見た話や、日々の体験をもとに文章を書いています。
詩・小説・エッセイなど、ジャンルにとらわれず言葉を残しています。