廃アパートにて――革靴

 面白そうな企画を見つけたので、ちょっと怖い話をします。幽霊は出ませんので、苦手な方もよかったら見てってくださいな。  中学生の頃、廃墟探索を趣味にしていました。  親に譲ってもらった、バッテリーの消耗がやけに速いデジカメを片手に、廃墟やシャッター街の写真を遠目に撮影して回っていました。  そう、遠くから写真を撮るだけ。決して立ち入らなかったのです。  理由は二つ。  一つは単純にそれだけで十分だったということ。自宅周辺に大きな廃墟と言えるようなものが殆どなく、崩れた壁や窓からでもなんとなく中の様子を察することができたから。  次の理由が、一番大きいです。  さっき「決して入らなかった」と言いましたが、実は三度だけ、廃墟の中に足を踏み入れたことがあります。  幽霊に会えるかも!? などとノリノリで。当時は死ぬときゃ死ぬと、妙にポジティブで健康的な自殺願望を抱えていたため、恐怖の欠片もなく一人で廃ホテルと草ぼうぼうの民家に突撃しました。あと、廃墟じゃないですけど防空壕跡(多分)にも。  結局、幽霊はいませんでしたけどね。
童部 情緒
童部 情緒
学生だからゆっくりペース。 最初はゆっくり動画作ろうと思ってたけれど機械音痴が災いして挫折。結局文章書いてる。 読んだものにはいいねつけます アイコンは友達にもらった宝物。