スミレが枯れるまで

 「いらっしゃいませ。ご注文は如何なさいますか?」  最近暑くなってきたが水を巻いてあるおかげで気温もちょうど良く、風も気持ちがいい。  私はいつものようにブラックコーヒーを嗜む。 懐かしいようで、慣れ親しんだ珈琲。  今日はなんとなく昔話でも聞いてもらおう。少し苦い話だが、ミルクと砂糖でも入れて甘くして濁しながら話そうか。  これは私が高校生の時の話。  緊張と不安を抱え知らない人だらけの教室に入る。全員が揃い何日かが過ぎ、ある程度話せる人も増えた。  2年が経った頃私にに春が訪れた。恋人ができたのだ。しかし長くは続かなかった。  理由は自分だと分かっていたが告白されて浮かれて付き合っていくうちに好きになっていくだろうという甘い考えが己だけではなく彼女をも傷つけた。  中学の頃に振られて以来好きという感情が分からなくなってしまったのだ。
よろしくお願いします