死にたい僕は

死にたい僕は
総合病院の庭は、時間が止まったみたいだった。 救急車のサイレンも、病棟のアナウンスも、ここまで来ると遠くなる。 僕はベンチに座り、制服の袖を引っ張った。 今日も何も変わらない一日だった。 生きている理由も、死なない理由も、見つからないまま。 「ねぇ、暑くないの?」 声をかけられて、びくっと肩が跳ねた。立っていたのは、点滴スタンドを引きずった同い年ぐらいの男の子。 視線は、僕の袖口に向いていた。 「……関係ない」 突き放すように言ったのに、彼は引かなかった。
叶夢 衣緒。/海月様の猫
叶夢 衣緒。/海月様の猫
綺麗事が救いにならない夜の話。 正しさに置いていかれた感情と、 救われなかった青春の残骸。 優しい言葉ほど、いちばん痛い。 2023年 2月27日start 3月3日初投稿