泡のなかの声
序章:画面のむこうに
スクリーンがまぶしい。けれど、目を離せない。
青白く光るスマホの画面だけが、この部屋で唯一の窓だ。
榊原理人、28歳。
事故で脚を失ってから、もうすぐ三年が経つ。
「失った」なんて言い方は甘い、奪われたんだよ、もっと正確に言えば「人生の脚本を下書きごと燃やされた」に近い。
車椅子の生活にも慣れた。って言えば聞こえはいいが、要するに諦めただけだ。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/5/29 3:36
あさきのぞみ
世界観なんてない。
自分らしく生きる羅針盤すらない。
存在を証明する計算式もない
指折り数えること
その日を繰り返す為に