第5話 バルダの塔

第5話 バルダの塔
 足は足枷をつけられたかのように重く、腕は上がらず、脳ももはやまともな思考をできない程に衰えていた。  "者"を倒して30分。俺は再びの敵との遭遇を恐れ、休むことなく人の気配を探して歩き回っていた。  しかしながら、当たり前に、という表現をしたくなるほどに森は静まり返っており、暗闇から光が漏れ出すことはなかった。  森の暗さと疲労による視界の衰えによりもはや色の識別は全くできなくなってきていた。そんな状態で見ると、この気味悪い森はモノクロで描かれた古い映画の世界かのように思えた。というかもはやそうであって欲しかった。  何かの間違いで映画の世界に迷い込んでいるだけ。そんなことがありえたらいいなと思っていた。    森に入って6時間経った頃、俺の目に予想だにしなかったある物が飛び込んできた。それは、ここ6時間見ることのなかった、きっちりと整えられた辺や角をもち、綺麗に造形された立派な建築物であった。  俺は不意を突かれたために驚きつつも、疲労困憊していたために休みたいという欲求が勝っており、最後と言えるほどの微量の力を振り絞って駆け足で建物に近づいた。  
黒鼠シラ
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