端の鬼

端の鬼
 その理由は今は忘れてしまったが同級生達より一回り身体が小さかった私は小学校に行かなくなり、その事が親に恥と言われ、それから私は部屋に籠り、筆で端の字を墨汁が切れたら墨まで磨り、ひたすら書いていた、(最初はそのまま恥の字を書いていたものの書きづらいから端に変わったのかもしれない) それは親に対して当てつけなのか、それとも何か自分は端にいるべき人間の様な、そう生きたいという願望が親に言われた恥の言葉で気づいたのかもしれない。 なにはともあれ、私は親が作って置いていってくれた弁当を食べる事とトイレ以外の時間は、日が落ちるまで、ひたすら、それは悟りを得る修行の様に、半紙に端の字を筆で書き続けていた。 そんなある日、陽も落ちかけ、部屋に夕陽が差して周囲が赤く染まった時、部屋の隅の陰になった所で何かうごめくものに気づく。 最初はそれが窓から部屋に度々入り込む野良猫かと思うも、その動くものの形は縦に伸び天井に届くくらい高くなり、見上げると、一つ目と目が合う。 そしてその全身が黒い一つ目のものは、かがみ込む様に私の文字を覗き込むとしゃがみ私と目線を合わせ話をしだす。 「なんだ今時熱心に写経をしているのかと思ったが違うのか」 「……」 「しかし、うぅん、これは中々良い端の字だ、数百年人の書く文字を見てはいるが、此処まで書ける者は中々いない、気が通り微かに道教の香りも感じる、左利きというのもまた良い」 「あなた誰?」
仙 岳美
仙 岳美
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