第一巻 上陸

第一巻 上陸
これは、私が数年前に見た夢である。今でもその光景を鮮明に覚えている。多少の脚色は加えるが、できる限り当時の見たままを書き記したい。 ※ 本書に登場する人物・団体・名称は架空のものであり、現実のものとは一切の関わりがありません。 プロローグ 朝、金沢八景の海は穏やかだった。  ベランダからは神奈川県金沢漁港の防波堤が小さく見える。坂本亮太は、カーテン越しに差し込む光に片目を細めながら、食卓の湯気を吸い込んだ。 「今日、遅くなる?」  キッチンから花子の声が飛んでくる。まだ寝癖が少し残る髪をポニーテールにまとめながら、味噌汁の鍋を持ち上げた。
June 4
June 4
大好きな作家は星新一と東野圭吾、小松左京です。 「少しの想像力で、多くの感嘆を」をスローガンに頑張ります。