夢見ノ朝花 〜色褪せぬ夢〜
間もなく置かれたのはマフィンという黄金色の焼き菓子だった。
僕はそっと手に取ると小さく齧る。ほんのりと、やさしい甘さが口の中に広がった。
「ネヴィは、親はいないの?」
「そう。小さい時に両親が流行病で死んだ。昔こそ荒んでたけど、今はさっきの店で働いて生活してる」
リーエラは、そっかと呟くと、お茶を一口飲む。
「私もね、目覚めたのは数ヶ月前なんだ」
なんと、リーエラは気付けば、僕と出会ったあの砂原にいたらしい。
「驚いたよ。辺り一面砂、砂、砂。色の一つも無い」
自分が死んだことによる反動は知っているつもりだったけどね、と彼女は語る。
0
閲覧数: 25
文字数: 903
カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/3/17 12:20
夜桜弦音
【よざくら おと】といいます。
主にファンタジー小説に力を入れております。
読んで頂けたら嬉しいです𓅫⸒⸒