夢見ノ朝花 〜色褪せぬ夢〜

夢見ノ朝花   〜色褪せぬ夢〜
間もなく置かれたのはマフィンという黄金色の焼き菓子だった。  僕はそっと手に取ると小さく齧る。ほんのりと、やさしい甘さが口の中に広がった。 「ネヴィは、親はいないの?」 「そう。小さい時に両親が流行病で死んだ。昔こそ荒んでたけど、今はさっきの店で働いて生活してる」  リーエラは、そっかと呟くと、お茶を一口飲む。 「私もね、目覚めたのは数ヶ月前なんだ」  なんと、リーエラは気付けば、僕と出会ったあの砂原にいたらしい。 「驚いたよ。辺り一面砂、砂、砂。色の一つも無い」  自分が死んだことによる反動は知っているつもりだったけどね、と彼女は語る。
夜桜弦音
夜桜弦音
【よざくら おと】といいます。 主にファンタジー小説に力を入れております。 読んで頂けたら嬉しいです𓅫⸒⸒