手品師 オーウェン

手品師 オーウェン
とある港街。波止場で手品をして暮らす若い男がいた。黒いシルクハットには青いリボンが巻かれ、おしゃれな燕尾服を着ている。鼻の所に嘴がついた鳥モチーフの仮面が目元を隠す。彼の名前はオーウェン。娯楽の少ないこの街のちょっとした人気者だ。最近は名前が広まり遠くからも客が来るようになってきた。見物料は100円。今はチップでなんとか食いつないでいる。 ある日の星がよく見える真夜中、オーウェンは仕事を切り上げトランクケースに道具を片付けているところだった。 「こんばんは」 明るい声に顔を上げると一人の子供が立っていた。小学校高学年くらいだろうか。神秘的な雰囲気を放っていて、肌は色白。まるで星明りのようだ。 「こんばんは。君、こんな夜中に一人で出てきたのかい?早く帰りなさい。私が送っていってあげるよ。」 「ううん。オーウェン。僕は手品を見に来たんだ。ほら!お金なら持ってるよ。」 少年はポケットから100円硬貨を取り出してオーウェンに差し出した。 「あー…ごめんね。今日はもう終わることにしたんだ。だからまた今度。次は昼の間に見においで。」 「ヤダ!僕は今しか無理なんだ。さぁほら速く!僕このためだけに来たんだよ!」 まぁ、そこまで言うのならとオーウェンはお金を受け取り、すぐ終わる簡単な手品をいくつか披露した。手品が成功するたび、「うわぁ〜!」「すごい!!」と歓声があがる。手品が終わり、オーウェンはお辞儀をする。いつの間にか座っていた少年は大きく拍手した。
止明\しめい
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