不楽本座に成れず儘

不楽本座に成れず儘
「ふぅ…」 椅子に座ったまま、15もの液晶パネルを男は同時に見る。その内12個はエラーを報告していて、そして3つはエラーを起こしている。 「…全く、どこで間違ったというのだろうか。」 ガラス張りの本棚から、一冊の本を抜き出す。その男の日記だ。しかしこの部屋に伝わる振動で、その本棚も砕け散ってしまう。 「そろそろ潮時だろうか。すまない。」 そう男は告げて、クローゼットからパラシュートを取り出す。砕け散ったガラス張りの床から地上を眺め、天空要塞から飛び降りる。 「まさか人生初のスカイダイビングがこんなタイミングですることになるとは。」  日頃から鍛え上げていた体のおかげでなんとか鉄屑にならずに着地した。その男は、空を見上げる。幾つもの金属片が落下し、そしてこの世界を滅ぼした不可思議な力によって塵となる。その何処か儚い様子をも男は緻密に記帳に記した。 「…おや。」
しらたき
しらたき
しらたきです。普段は鍋の具としてぐつぐつ煮られています。ほどほどによろしくお願いします。