ダイヤモンド。

ダイヤモンド。
キラキラと眩しく輝く風俗街が、白い冬に包まれる。 窮屈に立ち並ぶ店の前に大きく掲げられた女たちのパネルは、いやらしく笑顔を作り、この街を誘惑する性欲の捌け口。 掌で掬い上げたら溶けてしまいそうなほどの小さな雪が、あたしのミルクティー色の髪に舞い落ちて、うっすらと白いベールを作り、ただの水分に変わっていく。 今の気持ちをどれだけ探しても、言葉にする術がひとつも見当たらないんだ。 あたしは舞い落ちる刹那の降る空を見上げることも、そこに立ち止まることもなく、ただ淡々とこの風俗街を歩いている。
後藤りせ
後藤りせ