あなたがクロじゃなかったら
おれの元ストーカーにして今カノである女子高生、|黒町銀花《くろまちぎんか》は探偵部所属の2年生である。探偵部って何? と訊ねてみたら、怪しげな人間を見つけたら尾行して何か悪いことをしてないか見張るのが活動内容だ、と得意げに無い胸を張って答えてきたのでげんこつで窘めた記憶がある。要するにストーカー養成所ってことだろ、多分。ていうか気づきたくはなかったけど、おれってこいつに怪しい奴と思われていたのか。だからしばらく付き纏われてたのか。普通に落ち込む。
これから話すことは、まぁそんな一風(ぶっちゃけ一風どころじゃないとは思うが)変わった恋人が遭遇したとある事件の概要である。ま、事件と言っても警察沙汰になるような大袈裟なものじゃなかったらしいけど。だから安心して聞いてくれ、ってなんでお前そんな顔色が悪いんだ? ……なぁ本当にお巡りさんの世話になってないはずだよな? そうなんだろ? おい、なんで目を逸らしてんだ。こっち向け。アッ待て、逃げんなコラ! ……えー、では次からが本題だ。
【黒町銀花の事件ファイル:黄昏カニバリズム事案】
──その日も部活がだいぶ長引いちゃったの。
だって仕方ないじゃない、この街にはわる〜いやつが多すぎるんだもの! 例えばアタシのカレシのまこちゃんだって最初はマジで不気味っていうかヤバそうな人だったし。だってさ、夜でも真っ黒いサングラスしてて、もじゃもじゃの天パなんて見るからに怪しいじゃない! ……って本人に言ってやったら、それは偏見だって拳で教えこまれたけどさ。ごほん、それはともかく。
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カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2021/8/23 16:14
千雪
成人済初心者一次創作字書き。3L全て好きな雑食です。アイコンはピクルーから。