伯爵家の奇妙な客人たち 全ての解決編
貴方と共にいられるのなら何処だって良かった。
例え、底の見えない深い青の中だろうと、魔物が襲いかかってくる古の森だろうと、貴方が生きてさえいればそれで良かったのだ。
幾人もの手が灯火に重なり、紅い血の色が透けて見えるようだった。低く、唸るような誰かの泣き声が混じり入る。数人で力を合わせて引っ張ると、ボートの底が濡れた砂の上を滑りだす。中に入った重みに耐えられないのか、木の板が軋む嫌な音がした。
あれは、あの夜の記憶だった。雨だれが窓をぽたぽたと穿ち、曇り空が見えていたあの晩のことだ。
「メグ、また外を見てるのね。でもランスロット様は帰ってこないわ。だって今日は、、ねえ?」
夜の底が深い。柔らかなリネンのシーツに膝を崩しながら、一心に窓の向こう側を睨み付けるようにしていた。穏やかな海がそこにある。その、ため息を織り交ぜた灰色の上ー小さな光でもいい、何か人が動き回っている証がほしくて、私は眠ることをしなかった。
「馬鹿なメグ。あれだけお互いを思い合ってるように見えたのに、結局はこうなっちゃう運命なのね。でもしょうがないわよね、身分の差って、生まれながらの格差ってこんなもんだわ」
ランプから溢れる光が目障りだったのだろう。夢の世界に引きずり込まれながらも、私のルームメイトであり同僚は、ぶつくさ文句を絶やさなかった。
「ほんと、、馬鹿なんだから、、」
彼女がふっと意識を手放したのが分かった。
2
閲覧数: 212
文字数: 933
カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2022/8/8 15:33
赤ずきんちゃん
こんにちは!Webには初投稿となります、赤ずきんちゃんです。
高校三年生になりました!性別は女です。
たま〜に更新するかもなので、良かったら覗いてやってください。
皆様の作品はどれも面白いものばかりで、これから沢山拝読できるのが楽しみです。
仲良くしてください!
よろしくお願いします!
良かったらフォローして気軽にコメントください♪