1年きりの猫

恋人が死んだ。飲酒運転の車に跳ねられた、 頭を打って、搬送途中で亡くなった。不慮の事故だった。 まるで夢を見ているようなまま彼女の葬式が終わり、ベットに座る そんなとき、窓の傍で猫の鳴く声がした。尻尾を揺らし真っ直ぐこちらを見つめる猫は汚れのない白い毛が青空に映えて凄く綺麗だ 「お前、誰ん家の猫?」その猫は透き通った淡い水色の目で 2回瞬きをして去っていった。 それから毎日不思議な猫は窓の傍にやって来るようになった。 寒いときも暑いときも1日も欠かさず毎日、毎日。 ある日、猫がお腹を空かせているのではないかと思いたって、 人生で初めてキャットフードと鯖缶を買ってみた。