片羽の蝶

 白い蝶が、車の通り過ぎたあとに落ちてきた。  落ち葉のように一度ひっくり返り、道の端に着いた。すぐに飛び立とうとしたが、片方の羽が地面を擦った。もう片方だけが動いて、体は小さく横へ回った。  蝶は少し、浮いた。縁石ほどの高さにも届かなかった。着地するとき、細い脚がいっぺんに折れ曲がったように見えたが、しばらくすると体は起き上がった。白い羽の端に、アスファルトの色がついていた。  羽がちぎれているのかと思った。しゃがんで見ると、どちらもあった。ただ、片側の羽が重なって、うまく開かないらしかった。細い腹が曲がるたびに、下になった羽もわずかにずれた。    その時、右からブレーキ音が聞こえた。膝を伸ばして道を空けた。自転車の人は小さく会釈して通り過ぎた。後ろのかごに葱が差してあるのが見えた。
かきあげ
かきあげ
バナナです