別に

まだ蝉も鳴いていない、蒸し暑い日 先生の声と、紙の上をなぞる音が教室に響く 固まった体が痛み始めて、ぐっと上に伸びをする ふと窓の外を見ると、山の方から、深い灰色が近づいてきていた 別に急ぐ必要もないのに、早足でこちらに向かってきている なぜか自分と重なって見えて、フンッと鼻を鳴らして、再び黒板を写し始めた もうすぐ梅雨だ 別に、急がなくてもいいのに
冬華
冬華
書きたくなったら書きます。思うように、手の動きに任せて。 そんな作品でよければ、ゆっくり読んでいってください。