【折セカ.サイドストーリー】はじめてのかんかく

【折セカ.サイドストーリー】はじめてのかんかく
 「あっ、ねえねえ、昨日のさぁ」  母親に、わたしと話が合うと思うからと紹介されたクラスメイトが、くるりと巻かれた前髪を気にしながら、意味の見出せない会話を始める。  わたしはひとりが好きだ。というより、だれかと一緒に過ごすことがにがて、といった方がしっくりくるかもしれない。そこに明確な理由や出来事があるわけじゃない。ただ、共感と悪口だけでなりたっているような人間関係に参加するのがめんどくさいだけだ。  だから、私は考えた。わたしがいてもいなくても、生活がたいして変わらないような、まるで人間らしくない人生を過ごせばいいのだと。  だけど、両親は、わたしが思い描いたような、一人で生きていく人生を許してくれなかった。  中学生になったとき、わたしは一切ともだちを作ろうとしなかったのに対し、母親は沢山のママ友をつくろうと奮闘していた。面倒なことになると感じたときにはもう遅く、学校へ登校すると、今ゲハゲハと笑っている目の前の彼女のような人間たちが、わたしに声をかけてきたのだ。  無視をして何か問題になったら嫌だし、と思って、ずるずると彼女たちと関係を続けてしまった結果が、これだ。
日和檸檬
日和檸檬
初めまして。そしてこんにちは。日和檸檬と書いて、ひよりれもんと言います。 私の物語が、少しでも貴方の心に届いたら。私を見つけてくださった貴方に、幸がありますように。 フォロバ目当てのフォローはお避けください。 二次創作専用アカウント(れもんびより。)をつくりました。 こちらで投稿してしまったものはそのままにしますが、これからはそちらで二次創作の投稿をしていきます。