日常の覗き穴

日常の覗き穴
 −−−カン、カン、カン−−− 階段を登る音が、やけに大きく聞こえる。 空気が水分を否定しているように暑く、重い。  夏。まだ7月の中頃だ。 家賃1万3000円の安アパートは蛍光灯もろくに変えていない。 外の明るさが嘘みたいに暗い廊下を、死に体で歩く。  ドアの軋んだ音に反応して、部屋の熱気がぐるぐると回りだす。 ………暑いな…。 冷房なんて気が利いたものとは縁遠いこの部屋が、今の自分には お似合いなのだろう。
オミちゃん
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文章好きのオミちゃんです。 ニワトリです。 どうぞ、よろしくです。