幽霊の鼓動が聞こえる

幽霊の鼓動が聞こえる
 どこかで忘れて、なくしてしまったある物を探す。  別に大した物じゃない。高価な物でも、誰かからのプレゼントでもない。  ただの手帳。詳しく言うなら日記帳。  別に大したことは書いていない。  ただ“今日はカフェでコーヒーを飲んだ”とか、“高校の同級生にばったり会った”とか日常を訳もなく書いた程度だから、うっかりベンチに開いたまま置き忘れていたとしても読まれて恥ずかしいことはない。  じゃあなぜ、そんな“大した物”じゃない日記帳を探すのか。  正直なところ、自分でもわからない。  1月8日、この日は日記を書けなかった。  手元にないことに気づいたその日の夜は、それこそお気に入りのカフェや、仕事場や帰り道、心当たりのある場所はなん往復も探しまわった。  それこそ、未練のある幽霊のように。
花瀬 詩雨
花瀬 詩雨
ハナセ シウと申します。 よろしくお願いします(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ アイコン ノーコピーライトガール様