季節の手紙 【二】
手紙の冒頭は普通、お元気ですか、とか書くものだと思いますが、今の貴方には到底似つかわしくない文言でございましょう。
いわゆる繁忙期真っ只中、でしょうか。過酷さは容易に想像できます。お仕事の引き継ぎやらも、貴方は人一倍それが苦手な印象がありますゆえ、気がかりで筆を執った次第であります。
なんとなく、今朝のスコールが、貴方の涙だと直感したのです。
ただ今暇を持て余している小生からこんな手紙を貰っても癪でありましょうが、エゴママでも、労いの言葉を送りたい気持ちのほうが勝りました。“貴方のことを気にかけている者が少なからず居る”という事実で、貴方の心をほんの少しでも救いたいと、らしくもなく自惚れてしまったのです。
ここまで読んでお辛いなら、その手を止めて寝てください。
小生は、貴方の負担が少し軽くなれば、くらいの思いで書いております。
労いの言葉は、心持ち次第で残酷に聞こえる場合もありましょう。これから綴られる言葉は、心の雲間に一筋、光が差した時分にでもお読みください。返事などは結構ですから。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2024/6/24 4:53
最終編集日時: 2024/6/24 5:39
ペトリコール
切ないお話が好きです。ハッピーなお話も好きです。
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サムネイルのイラストは自作です。