銀行強盗

銀行強盗
 銀行に強盗がはいった。強盗は拳銃を取り出して手に握り、受付窓口の方へと向けた。手をあげろ、と大声で怒鳴る。 「お前らも全員手をあげろ。さもないと……」  そう言うなり強盗は客たちを一喝して銃口を天井へと向けて、一発弾丸を発砲した。これが本物の凶器であることと、やるときはためらいもなく撃つぞ、という周囲の人間たちに恐怖心を埋めつけるためだった。Bung!という轟音とともに、蛍光照明灯の真横に煙の残る穴が開く。きゃあああ、という銀行員や客たちの悲鳴が響き渡る。 「うるせえ、騒ぐんじゃねえ。いいから早く準備しろ」  強盗はそして、受付カウンターの上に大きな一〇キロは入るだろう、黒い鞄をどすん、と置いた。 「い、いくらをご所望ですか?」  身体を震わせて、顔中を恐怖に引き攣らせた銀行員が強盗に手をあげたまま尋ねる。この鞄に入る分だけいれろ、と強盗が鞄の空洞を示して銀行員に銃口を向けると、ひいいっ、と銀行員は再び戦慄して身体をのけぞらせた。 「言っとくが、下手な真似したら承知しねえからな」 「も、もちろんです、ひ、百万だろうと一千万だろうと一億だろうと、いくらでも、さ、差し上げますから」  銀行員がそう言ってほかの従業員に、金庫を開けてくれ、と指示を出すと、背後にいた数人の者たちは即座に収納金を取り出すべく、作業に取り掛かった。
アベノケイスケ
アベノケイスケ
小説はジャンル問わず好きです。趣味は雑多系の猫好きリリッカー(=・ω・`)