金メダル

「ヒューヒュー。」 的に弓を向ける。 息が震える。ここはブエノスアイレス。アルゼンチンの夏はかなり暑い。むせかえるような炎天下だ。 観客の声援。まるで時間が止まったように長い。長い。ここで真ん中を決めなくてはいけない。 汗が頬を伝う感触がする。 限界まで張った弓を抑え矢を持つ手は震える。 集中だ。やるしかない。的を見つめる。 矢を放つ。 私が矢を放った時頭に浮かんだのは母のことだった。母は私の姿を見れずに死んでしまった。 天国にいる母はどう思っているのだろうか。
てまきまき
はじめまして