猫のなみだ

猫のなみだ
 朝、目が覚めた時、布団がいつもよりも冷たかった。這い出た先、窓から差し込む陽に暖まる主人の顔を見れば、それは寝ぼけ頭にもすぐに分かった。 「しんだか?」  私は寝ている人に寝たか?と聞くような、そんな間抜けな質問をした。ある日から寝たきりになり、薄れていく曖昧な反応に死期は悟っていたので、衝撃的なことは無かった。  すーっと息を深く吸すって、大声でないてみた。  ないても涙は零れない。  ゴロゴロと喉を鳴らして頬にすり寄れば、まだ体の深部に暖かさが残っている気がした。一人と一匹眠りにつく前のちょっとした時間が、私の頬を撫でたあの暖かさが、変に歪んで、懐かしく感じた。
エズエシ
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糞ガキを野球のバットでぶっ叩け