プロローグ
日常的な寂れた商店街。深夜0時を回っても街灯は白く無機質な光を発光している。そんな光すら届かない灰にまみれた裏路地で異形を違法に討伐する者達がいた。彼らをこう呼んだ。狩人と。2027年のある日、ヨーロッパ東部で不思議なものが発見された。人間ではない明らかにおかしい形態をした生物。発見当初世界ではユーマだと言う声が数多く上がる一方でフィクションでは?という声も数多くあがった。だがその声はまたたく間に消される事となる。最初に発見されてから約1週間ほどで全世界でなんと1万件を超える目撃情報があったからだ。これに対し国連は選抜の研究チームを結成する事を発表した。選抜チームが発足され3日ほどで謎の生物の正体が国連より発表された。国連が言うに謎の生物は地球外生命体である事をまず否定し、かの生物は突然変異で生まれた極めて危険な生物とされた。そして国連はその生物を「異形」と名付けた。この会見に対し各国は様々な形で対策を取ることとになった。 さらに異形に関する様々な組織が各地で作られていった。ある所は自警団的な、ある所は崇拝する所まで作られた。その後も国連は数回会見をし、異形の生態についてかなり分かってきてる。異形は能力を持っており、超常現象などを起こす事が可能。それを異能と名付けた。その異能を使う者達を世間はいつの間にかこう呼ぶようになっていた。異能者と。異能者は異形から取れる核を食べる事で異能を得ることが出来る。そんな異能者の始まりの物語である。 狩人は普段、スラム街に住み異形を狩る事で生計を立ててる。それ故に狩人同士での戦いや助け合いも多い。俺もその狩人の一人だ。狩人である程度異形を狩ると通り名が付くこともある。俺は白髪だから『白い死神』と呼ばれている。しかし、誰でも狩人になれる訳ではない。異能者でないといけない。異形は異能にのみ倒せるから狩人になる奴は極めて少ない。だけど狩人は違法に異形を討伐する人々を指す言葉である。それでもしない限り彼らは生きて行けないのだ。
目覚めると焼けるような強い明かりが路地の建物の隙間を通って自分に届いてくる。早朝はいつも静かだ。真夜中に聞こえてくる異形の断末魔もない。車や人もまだ動き出してしない。この世界で平和だと思えるのはこの時間だけだろう。俺は少し歩く距離のスラム街へ向かった。そこでは軽めの露店が数件あるのだが、その中の1つ『アズベル』と言う名の店がある。アルミ板を貼り付けただけの店だが俺らのような狩人には絶対に必要な店だ。「いっらしゃい。元気にしてたか?」「あぁもちろん」彼はこの店の店主の秋山さんだ。この店は異形の核や肉の買い取りをしてくれたり、武器や情報を売ってくれる。もちろん違法な為買い取り価格は安いし、買う金額をかなり値を張る。それでも俺らにとってはありがたいのだ。「サービスしとくよ」秋山さんが俺に1000円札を一枚手渡してきた。「ありがとうござい――」お礼を言おうとした瞬間、背中に一気に寒気がした。と同時に目の前が真っ白に包まれた。俺はとっさに背中の大鎌を前に激しく前に振った。そして何かに当たった感触があった。さらに全身に切り刻まれた感触があった。気がついた時には全身が切り刻まれており、出血していた。目を前に向けると荒野と化した中心に誰か一人立っていた。その人はまるで天使のようでどこか懐かしさがあった。手には白く煌びやかな槍を持っていた。俺はしばらくそのあまりの美しさに見惚れていた。俺ははっとするとすぐに後ろに跳んだ。いつも通っていた店や人も全て一瞬で消えている。なんだよ!これは!唐突に理解した。今自分が置かれている状況に。高位あるはそれ以上の特位級レベルのものを相手にしているからだ。そして天使のような人がこっちをみた。そして斬撃のような攻撃がこっちに飛んできた。しかしその攻撃は俺に間一髪当たる事は無かった。「間に合ったか」電撃が俺の間を横切った。と同時に空から降りて来たのは俺の師匠でもあり狩人最強と言われる雷電海だった。そして海師匠の相棒の阿山黒江さんだ。「行くぞ」「うっす」海の合図で走り出す。瞬く間に天使の間合いに入る。約300mあるはあるはずなのに師匠が通ると一瞬であった。「失せろ天使」ここまで痺れが伝わる海の電撃が天使に当たるが、対してダメージが入ってるようには見えない。師匠でもここまでなのか!と思った時、横から炎の波が天使を襲った。その先にいたのは、公安の炎使いだった。裏でも公安の阿修羅として恐らている人だ。でもなんでこんな所に!?確か彼は浅草区担当だと聞いたが、何故此処へ?いや、それより今は天使が先だ。「……そろそろかな」……!上から鈍く透き通る声が聞こえてきた。俺は急いで後ろを振り返るとチャラい男が天使を望遠鏡で眺めながら笑って立っていた。俺はその男が不思議に感じた。まるで天使……いや、それ以上の異能を持ってる気がする。するとその男は地に落りると、天使と闘いの間に入り横入りして天使を一発蹴ると今まで誰一人として動かせなかった天使を上空に蹴り上げたのだ。それは俺や師匠も驚愕した。それからはそいつの独壇場だった。蹴り上げた後、地面に叩きつけるると胸ぐらを掴みしばらく持ち上げると。その天使がピクリとも動かなくなったのだ。その男がその手を離すと天使は地面に転がり落ちた。その男はこちらを向いて笑顔で手を振るとどこかへ消えていった。「またな救世主」その男はそう言葉を残していった。そして師匠が俺に声をかける「撤退するぞ」俺は自分の足を上げて師匠の背中を追って歩き始めた。こうして俺の物語がまた始まるのだった。
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2023/1/16 0:49
東井タカヒロ
自由気ままに小説投稿