灰色のジャングルより
私の祖父は、東南アジアに飛ばされた日本兵だったという。ジャングルの中はゲリラ、マラリア、玉砕など恐怖しかなかったらしい。そんな中、奇襲に遭い祖父だけ生き残ってしまった。
1人対一軍の圧倒的不利な状況。位置がバレ、もう打たれそうになった時白旗を掲げて降参した。祖父はやってしまったと思った。相手に降参するのは恥であり、自分たちは祖国のために死なないといけないと考えていたからだ。 敵軍は白旗をすんなり受け入れ、粗雑に祖父を塹壕の中に突っ込んだ。祖父はこのまま捕虜になって死ぬのかと諦めていた。 そのまま終戦まで塹壕の中に閉じ込められていたが、敵軍は祖父をアメリカに持ち帰り、豪華な食事を用意してくれたそう。 祖父は何故こんな死に損ないに飯を用意するんだと抗議した。するとアメリカ兵の1人は冷静に「日本が国民を騙して真実を教えなかったからあんたらは嘘の情報を信じてここまで戦いに来てしまったんだろう。辛かったな」とそう言った。祖父は「自分たちが敵だと思っていたこの人たちは、なんて暖かいのだろう。真実を知らなかった自分が恥ずかしい。」と思い涙を流したそうだ。 そのあとはアメリカの工場で働くことになり、数年間楽しく生活していた。その工場は粗悪な環境で、祖父は病気にかかり目が見えなくなったが見えなくなる寸前、世界がはっきりとしたモノクロのように見えたという。 その後帰国し、軍を辞めさせられ田舎で暮らし始めたのだとか。
これは自分の祖父が死ぬ少し前に聞いた話。自分が祖父の立場だったら戦場に行くのすら拒否しようと逃げていただろう。 亡くなってしまったが、人生の先輩はやはりすごいなというのを実感した。
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2025/7/21 15:14
エアコック
どうも。 しょうもないことを小説に書いてます。小馬鹿にしながら何だこれと思って読んでください。コメントとか何かあれば。批判大募集。