旅立ち編④
(うーん、、、しくじったなぁ)
ロゴスは困り果てていた。お互いに勝負を決めきれず消耗戦になっている。パトスはふたつの剣を持っているが、今回抜いたのは大剣、火力や一撃は重たいがスピードはかなり遅い。それに対して相手は攻防一体の盾と片手剣。いくら切り込んでも防がれてしまう。苦しいのは騎士の男もそうだ。攻撃は防げているが一撃の重さに体制を崩される。崩されてから一撃必殺を貰うのを憂いてかか引き気味に戦っている。攻めきれないロゴスと反撃できない騎士の男、ロゴスの方が優勢ではあるが、終わりの見えない戦いになるだろう。ロゴスの攻撃が度々相手を崩すことはあるが、相手も手練。蹴りや当身などの攻撃しか入らない。スピードで負けているロゴスは切先が触れ、切り傷が増えてきている。
(起死回生の一手はあるんだけど、、、使えそうにないな、、、隙もないし。それよりも、なんでこんなにマナが薄いんだろう)
マナとは、空気中に滞在し、生物に作用する酸素などと同様の物質である。全ての生物は呼吸と共にマナを取り込み、体内へ魔力へと変換し魔法を使う。魔力は強さの指標にもされる。ロゴスがマナの薄さを不思議に思っている一方で騎士の男も疑問を抱えていた。
(こいつ、魔力持ってんのか?強化魔法も使ってねえみたいだし。こんだけ強いのに漏れ出す魔力が見えねぇ。それより魔法使ってねえのにこの強さは馬鹿だろ)
と内心苦笑いをしている。各自で疑問を抱えながらまだ終わらない切り合いを続けている。
(あーもうめんどくさいなぁ)
アテナはアテナで苦悩していた。対峙している髑髏の魔法士は死霊術師で、死体や骸骨、亡霊等、所謂死霊を使役して戦う。そしてこの女、その死霊術が規格外なのだ。視界が全て骸で覆われる程の量、この量を使役しながら地震も魔法弾を放ってくる。死霊自体はあまり強くなく、弱い魔法で倒れるのだが、いかんせん数が多い。倒しても倒しても湧いて出る。死霊の壁が厚く術者への攻撃も届かない。そして死霊術の厄介なところは他にもある。
(どんどんマナが薄くなる、、、死霊がマナを食いつくしてるな)
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2023/2/16 13:37
ホネナシちきん