守護の拳【本編】 ep35 宿命の歯車が動く夜

守護の拳【本編】 ep35 宿命の歯車が動く夜
守護の拳【本編】 ep35 宿命の歯車が動く夜 オールドクロウの扉が静かに閉じ、店内には緊張感が漂っていた。 負傷した拳磨が運び込まれると、マスターの鴉羽は迅速に動き出した。彼はクローゼットに向かうと、壁に隠されたキーパネルの蓋を開き、迷いなくコードを入力した。その瞬間、バーカウンターのバックバーが静かにスライドし、重厚な扉が姿を現す。扉の奥には、眩い照明に包まれた空間が広がっていた。そこには、誰も予想だにしない最新鋭の医療装置が整然と並んでいた。 拳磨をそっとベッドに横たえると、バーテンダーの天草桜華が奥の部屋から現れた。彼女はいつものバースーツ姿から白衣に着替え、表情に不安を滲ませながらも、決意を秘めた瞳で拳磨を見つめた。 一方で、霧花と向き合った鴉羽の瞳は深い悲しみに揺れていた。彼はそっと彼女の肩に手を置くと、震える声で言った。 「もう大丈夫だ……もう……」
鴉羽蓮司
鴉羽蓮司
昨年から少しずつ書き進めている小説のテーマは「武道」です。私がこれまでに学び、経験してきた少林寺拳法や武道の哲学を物語に込めています。主人公が己を磨きながら困難を乗り越える姿を描く中で、「力」と「正義」のバランスや、人とのつながりの大切さといった普遍的なテーマに挑んでいます。