11 ゴブリンと凶兆

11 ゴブリンと凶兆
「依頼のあったブルームの大森林ってここだよね。」 彼らの目の前には、禍々しい雰囲気を纏った大森林があった。地図を持ち、森を見上げるネネルの顔は、ものすごく引き攣っている。ぎこちない動きで、プシュケの方に首を回す彼の顔は、「え?ここに入るの?嘘でしょ⁉︎」という顔だ。 「あ、ああ。残念ながら、ここだな。」 「ねえ嘘でしょ⁉︎ 僕の知ってる限り、ゴブリンってもっとその辺にいるモブみたいな存在なんじゃ……!」 「私、こんなところにいるゴブリンって、絶対只者じゃないと思うな!」 「まあ、少なくとも俺らの想像する物語の主人公がワンパンで倒すような奴らじゃ無いってのは、ほぼ確定だな。て事で、気を引き締めて行こう!」そうして彼らは、瘴気の漂う道なき道を渡り、叫ぶ人面樹を掻き分け、ゴブリンの巣穴へと向かうのであった。 「キシャアーッ!」そう叫んで後ろから仕掛けてきたのは、小柄なゴブリン。見た目は想像通りだが、素早さは想定外で追うのも一苦労だった。しかし、そこで役立ったのはネネルのジョブだった。 「“忍足”《ステップ》。逃さないよ…」 速技系ジョブの中でも稀有な暗殺者。彼らの固有スキルが一つ“忍足”。それは、一切の気配を断ち、目にも止まらぬ速さで走り抜ける隠密スキルである。これを駆使し、彼は素早く立ち回り、ゴブリンの背後から首を掻っ切った。突然の奇襲に為す術もなく、ゴブリンは息絶えた。その見事な足捌きと強さに、思わず二人ともスタンディングオベーションをかます。その後、証拠となる耳を切り取ると、ゴブリンがやってきたと思われる方向に歩き、ペレの魔法で残穢を辿りながら巣穴へと向かった。そこには二十強のゴブリンの群れがあった。 「うげっ!めっちゃいんじゃん。」
あいびぃ
あいびぃ
初めまして、あいびぃです! 見つけてくれてありがとう♪ 私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。 詳しいことは「自己紹介」にて! まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします! ※❤︎&コメはめちゃくちゃ喜びますので、私を喜ばせたい方は是非! 私の事が嫌いな方はオススメしません。