鈴は月に恋をする。

鈴は月に恋をする。
夜風が、カーテンを小さく揺らしていた。 春とはいえ、まだ夜は冷える。 桜ノ宮高等学校の寮、三階の角部屋。 悠月は布団の中で寝返りを打ちながら、ぼんやりと天井を見つめていた。 「……眠れないな。」 静かすぎる夜が、胸の奥を少しざわつかせる。 月がやけに明るい。 光が差し込むたび、部屋の中が白く滲んで見えた。
かつらな
かつらな
現役女子高生、17歳。 かすかな痛みと夢の残り香を言葉に変えて、生きている証を綴る。