鈴は月に恋をする。
夜風が、カーテンを小さく揺らしていた。
春とはいえ、まだ夜は冷える。
桜ノ宮高等学校の寮、三階の角部屋。
悠月は布団の中で寝返りを打ちながら、ぼんやりと天井を見つめていた。
「……眠れないな。」
静かすぎる夜が、胸の奥を少しざわつかせる。
月がやけに明るい。
光が差し込むたび、部屋の中が白く滲んで見えた。
0
閲覧数: 22
文字数: 9322
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/10/11 23:46
かつらな
現役女子高生、17歳。
かすかな痛みと夢の残り香を言葉に変えて、生きている証を綴る。