祓い屋のお仕事 4
「…この池を泳げと?」
「ええ、そうですよ。」
八染はにっこり笑って射雨を見る。射雨は言葉を失う。くすんだ緑の水の中を泳ぐのはとても気が引ける。
「先程の気配探しの札は強い気配や大勢の気配を感じるとよく弾けるんです。なので、ちょっと潜ってきて下さい。」
両手を合わせて「ね?」と言う八染とは対象的に射雨は気分が悪くなっていった。八染の右手の甲には赤い金魚が尾をひらひらさせて居る。
「危険そうなら紫苑に助けさせますので、ご安心を。」と言う八染に背後の紫苑は驚いた表情をする。
「私は助けんぞ、我が主よ。そいつとは契約などしていないからな。」
いつの間にか人の姿に戻っていた紫苑は犬の面をしていて、その下の顔は見えずともキッと射雨を睨んでいた。
「まぁまぁ、そう言わず。…そうだ、良い酒を頂いたのです。それでどうです?」
八染が手を伸ばしてそっと紫苑の頭を撫でる。大きな身体の紫苑は主の手が届くように身を屈めた。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2024/10/1 23:37
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
赤木
学生
初めまして。拙い文章ですが気に入って下さるととても嬉しいです。BL作品、ほの暗い作品多いと思います。思いつきで投稿することも多いです。