デスランド-プロローグ-

デスランド-プロローグ-
この世界では、鮮血が飛び交い人間とは到底思えない化け物のような声を上げた時ほど、オーディエンスも共に鳴き、腕高らかに拳を突き上げる。 それが完璧なる理想的な見世物のカタチだ。 「あー!あー!あーーー!」 だが戦時の過去と違い、この現代社会では“人の為に自らが傷つく“ことは大分減った。助かりたいがために他人を蹴落とす。 例えばそれが家族やパートナーだった場合どれだけの偽善者が他人の命を選択するのだろう。本当の答えはその時になってみないと勿論分からない。 ブーイングの嵐の中男はただただ理解不能な大声を上げて座り込んでいた。だらしなく股間から広がる淡性の尿に鼻から滴る血液が波紋を広げて侵入することで、男の存在は視覚的にもオーディエンスを刺激した。 「うるさいねぇ」
りりこ
りりこ