金木犀
夜道を散歩していると、冷たい風に乗って、金木犀の香りが鼻をくすぐった。
辺りを見回しても、金木犀は見当たらなかった。
夜に香りが強くなって、姿は見えなくても、良い匂いがするから、幽玄なんて花言葉が付いたのかな、だとか、真っ黒な木を見つめながら思った。
強い香りに誘惑。花が小さいから、謙虚。
「新しいボディーソープ買ってきたよ。金木犀の匂い、良い匂いだよね」君はドラッグストアから帰ってきて、嬉しそうにしてた。
「そっか」
「お風呂に置いとくね」
「うん」
金木犀の香りがすると、君の寂しそうな顔を思い出す。
別れてから、金木犀の香りが鼻をくすぐる。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2024/6/14 10:48
英兎