技術を磨いて
俺は剣を作る職人だ。戦場には必需品である武器を作れることは光栄に思う。たとえ、それで人が死のうとも。俺は無関係だ。
ある日、既存の金属では飽き足らず、金属の調合に挑戦してみることにした。最近、新しく発見されたシードメタルというものも入手出来たので、腕がなって仕方がない。金属同士を混ぜ合わせ、剣の形に整形し、金槌で鍛えていく。
金と銀、そしてシードメタルの合成は失敗だった。まず、鍛えた時の音が鈍かった。柔らかく、人を刺した時に一度で曲がってしまったらしい。その兵士は一撃で仕留められず、相打ちとなったと聞いた。
では、ステンレスと錫とシードメタルはどうだろう。今度は硬くなったものの、脆くなってしまった。一撃で刃こぼれし、代わりの剣を持っていなかった兵士は攻撃出来ずに散っていったとのことだった。
それならば、鉛とシードメタルは――比重も良かったのか、錆びることも、もろくなることもなく、堅固な金属となってくれた。新たな武器を手にした兵士は高揚し、俺の知らない戦場を駆け抜ける。敵を薙ぎ倒し、首都を陥落させた。
たとえそれで隣国が滅ぼうとも、俺には全く関係ない。
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文字数: 488
カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/6/29 4:12
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
ナナミヤ
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