惑わす狼、誘う兎

惑わす狼、誘う兎
男なんて、信じない方がいい。 「宇佐美さん。ちょっとこの後、ゆっくり話さない?」 会社の忘年会の席で、ほとんど面識のなかった大上さんという人と仲良くなった。 チェーン居酒屋の大広間が賑わいを見せる中、十数分ではあったけど、二人で話す機会があった。 先輩なのに、新人のわたしにも物腰が柔らかく、優しい印象だった。顔も良いが、声が特に良い。仲のいい同僚の愚痴を聞かされるより、ほぼ初対面の大上さんと話していた方が居心地が良かったのは、ここだけのヒミツ。 酔いが回っていたのも、少し、あったと思う。 「大丈夫? 少し外の風に当たりながら、静かな所に行こうよ」 会がお開きになった後、同僚達がこの後どうするかとモタモタしている間に、わたしは大上さんに腕を引かれ、その場を離れた。 「あの、わたし……彼氏が」 「俺の今いる部署、おじさんばっかでさ。宇佐美さんみたいに若い人と話す機会って嬉しくて。もう少し、ダメかな」
P.N.恋スル兎
P.N.恋スル兎
嫌なことは嫌々やれ。 好きなことは好きにやれ。 名前は、兎年から始めたのと、DoDが好きなのと、ポルノグラフィティが好きなのでそこから取ってます。