ある世界の記録書――羊と駆ける
柵を開け、走り出した羊たちを見送る。空は雲ひとつなく澄み渡っている。胸いっぱいに深呼吸をし、今ある幸せを噛み締めた。
俺には両親がいない。いや、出ていった、の方が正確だろうか。母は四年前に病気を拗らせて亡くなった。その一年後、父が王都へ向かって以来、その姿を見ていない。
置いていかれたのがこの村で良かった。まだ十歳だった俺を、村の人は見捨てなかった。すぐに異変を察して、王都へ見回りに行ってくれた程だ。それなのに、父は見つからなかった。
「セレノ! 今日はサンドイッチ持ってってあげるね!」
声に振り向いてみると、道を挟んで向こうから茶髪でウサギを思わせるような可愛らしい顔立ちの幼馴染――エミリが手を振っている。
「ありがとう! お礼はいつかするから」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/10/2 11:51
七宮叶歌
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2025.1.23 start
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優勝者
第1回 ot 様
第2回 ot 様
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優勝者
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