チューインガム

 チューインガムって恋愛みたいだよね。  そう言っていたのは何個前の彼女だったっけ。  言い得て妙だと思った。  恋愛も最初が一番おいしくて、でもだんだん味がしなくなっていって、膨らませてみてもすぐに萎んで膨らませすぎたら破裂してしまう。  いや、これは風船ガムか。チューインガムってなんだっけ。 「どうしたの?悩み事?」  俺が物思いに耽っていると勘違いした綾香が少し心配そうな声を出した。 「いや、くだらないこと考えてただけ。気にしないで」 「なにそれ気になる。教えてよー」  綾香はそう言って肩を揺らしてきた。
たなたか
ゆったり