塩のリング

塩のリング
 障子を透かして差し込む光は、いつもどこか濁っていた。  亡くなった祖母の家は、築五十年を超える木造の二階建てだった。廊下を歩けば床板が沈み、風が吹けば目に見えない隙間から、ヒュウヒュウと湿った音が漏れ聞こえてくる。  三十二歳になる真由は、離婚の手続きと引き換えに手に入れた幼い娘――紬(つむぎ)の小さな手を引き、この家に引っ越してきた。仕事に忙殺され、夫との冷え切った関係に終止符を打った真由にとって、ここは逃げ込むようにたどり着いた場所だった。 「ママ、ここ、おばあちゃんち?」 「そうよ。今日からここが、つむちゃんのお家だからね」
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2026/10/23 15:19
紗倉亞空生
紗倉亞空生
紗倉亞空生(さくら あくお)と申します。 ミステリとホラゲーとちょっぴりロードバイク🚴を嗜むしがない会社員です。 主にミステリとホラーを書いています。 よろしくお願いします。