第1話

 桜の花弁が、心地よい風に運ばれ、空へと舞っている。  此処、御伽市に住む誰もが、春の訪れに歓喜していた。  あたし、桜庭朱里は、すっかり春めいた御伽の街並みを瞳に映し、ショートの金髪を風に靡かせる。  この日は、御伽第一アカデミーの始業式。今日からあたしは、高等部二年生だ。  見慣れた通学路が、いつもより真新しく映るのも、きっと気のせいではないはず。  ふと桜並木を見る。すると、同じく高等部二年生の女子二人が、桜をバックに写真を撮っていた。 「撮るよ~! はい、チーズッ」 「いえ~い!」
nonnki
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詩を書く人間です。小説もたまに書くかもしれません。 よろしくお願いします🙇‍♀️