犬の気持ち その18
「さーくらがさいたー」
歌でいいのか、それ。メロディーとか何もない、間延びしたしゃべりなんだが。
季節は、すっかりと移り変わり、春になった。青が、謎のリズムで話したように桜も咲いている。
「桜か……。見に行ってもいいんやが、今日は日曜日。確実に混んでいるやろうし、やめとこか」
俺は、分かっているぞ。そうやってテキトーに理由をつけて、桜を見に行かないで春が終わるんだろうな。
「ぽちは、桜見たいか?」
どっちでもいい。特に興味があるわけでもないしな。
「まぁ、ぽちは花より団子やろうしな。桜より食いもんやろ」
否定できないのが腹立つな。青も同じ思考回路だろうに。
「そう言えば、昨日の夕方、親戚からなんか届いてたな……。確か食べ物だったはずや。この散歩が終わったら、一緒に食べような」
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/5/3 4:05
最終編集日時: 2025/5/3 4:06
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。
あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。
カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。