負の連鎖を乗り越えて
有名人の自死、あるいはそれに近い亡くなり方を聞いた時、ひょっとしたらそれは未来の自分の姿かもしれないと暗澹となる。今回自宅マンションで息を引き取っていた女優さんは、自殺ではなく事故によるものだという。しかし、彼女の母親が自死していたといった報道を目にすると、まるで導かれたような最期にさえ思える。
彼女自身、摂食障害やパニック発作などさまざまな苦難に巻き込まれながらも懸命に生きようとしていた節がある。でも、精神障害を克服出来なかったのが命を縮める元だったとするならあまりに悲しい。もっとも精神障害というのは、克服するというより共存共栄で生きていくべきものかもしれないが。
閑話休題。私自身、うつ病で軽度のADHDというちょっとした事故物件だ。発達障害の特性上、交通事故を起こすこともしばしばである。おかげで我が家のマイカーは、家内名義だがしばしば起こした事故によりとうとう車両保険に加入出来なくなってしまった。
自分が物凄くこの世に必要とされていない人間に思えてくること度々であり、四十代までは希死念慮で自殺未遂を繰り返していた。入院という話もあったが、家内が頑として首を縦に振らなかったおかげで、どうにか世間と関わりを持つことが出来た。
何しろ地方でのことだ。世間体が悪いという思いもあったかもしれない。当時、家内の両親もまだ健在だった。もしも私が精神疾患で入院となればどう言い繕うかと考えていた可能性もあろう。その点のことは深く聞いたことはないが、病院に丸投げしなかったのが彼女なりの愛情であったと思っている。
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カテゴリー: 日記・エッセー
投稿日時: 2025/7/18 17:33
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
江戸嚴求(ごんぐ)
ノベルアップ+でエッセイなど発表している、五十路の雑文家です。江戸厳愚から江戸嚴求と改名しました。