ヒトを恋しく思う

ふとした、本当ほんとうにふとした瞬間に、私は今自分が人という存在を恋しく思っていたのだと気づいた。 私の向かいのボックス席に座る、男性のお客さん。店員さんと目も合わせず、ボソボソと低い声で注文をしている。不機嫌なのだろうか、仕事終わりで疲れているのだろうか。 そんなことを考えながら、私は自分のご飯をぱくり。一口食べた。 いや、もしかしたら違うのかもしれない。 私の頭の中で、別の想像が働いた。 向かいの男性は、実はお店の常連さんなのかもしれない。毎日のように同じ時間に通い同じ料理を注文しているのに、店員さんが「今日もお疲れ様です」とか「いつもと同じお料理にしますか」と聞かなかったことに対して寂しさを感じているのかもしれない。
ヤミイロミヅキ
ヤミイロミヅキ
「ダーク」をメインテーマに創作しています。狂愛/仮面/切なさ/悲哀/病み/孤独/メリバ。日常のほの暗さから、涙するほどの大きな闇まで。あなたのお好きなヤミイロ話を見つけてね。リクエストも受付中。