2023年度 読書感想文

 昔からニュースでは「いじめ」や「殺人」と言った言葉をよく耳にする。もちろん良いことではないし、無くなれば喜ぶ人は沢山いる。殺人やいじめの奥には大体の場合、怒りや妬み、憎しみが隠されていることが多いらしく、自分にはないものを持っている人を羨ましいと感じたり相手の行動に怒りや憎しみを覚えるのも人間として当たり前のことである。  ただ、この本の中で起きる殺人はすべて、憎しみも怒りもない無差別殺人だった。  この物語では、愛する娘を自分が受け持つクラスの生徒、渡辺と下村に殺されてしまった中学教師、森口の復讐劇が描かれており、その犯人に、被害者に対する感情なんて何一つなかったのだ。なんの感情もなく彼らは一人の人間を殺した。こんな二人が協力して行う殺人のターゲットは、「悪いヤツ」ただそれだけである。  その後、実際に二人が犯行に及ぶと、「あいつは人殺しだ。」と揶揄され、とクラスメイトからいじめを受けたり、妨げられるようになってしまう。  私は、この「いじめ」にとても覚えがある。 「このクラスにはいじめがあります。」  小学校高学年の時に担任の先生から言われた言葉だ。この時にいじめられていたのは私の友達で、いじめられるのを見て助けていても、相手の人数が多く、特に何もしてあげられなかったという経験と後悔が今も残っている。それらが重なり、一度は恐怖感で閉じてしまった本だけれど、少しでもヒントがあればと思い、もう一度読み直すことにした。  私はこの本をサイコロのようだと思った。同じ章の中でも文章の区切りが終わるたびに登場人物の視点が変わるからだ。章を読むごとに、予想していた展開が間違っているとわかり、また新しい予想を立てる。犯人や犯人の家族、級友と次々に変わっていく視点をみているとそれぞれ登場人物の思いや共通点が見つかってとても読み込んでしまった。それでも驚くほど、予想外の展開に感動した。  その中でも特に、私が1番印象に残ったシーンは、渡辺が作った嘘発見器で森口の退職後、新しく担任となった熱血教師のウェルテルの嘘を暴き出すシーンだ。  森口の退職後、あまりのショックに不登校となってしまった下村の家にウェルテルは毎週のように家庭訪問することになる。委員長として同行している橋本がやめた方がいいと忠告しても、「今が正念場なんだ。」と言って止める気のないウェルテルに、渡辺の作った嘘発見器を使い、橋本はウェルテルに質問をした
龍華
龍華
元けしかす。です。心機一転してまた書いてみようかと思うのでよろしくお願いします。 応援してくださるフォロワーさんを大切に思って頑張ります。