寿楽荘、曰く憑きにつき〈7〉
————あれから榊原は柳田の身体に手にしたナイフの切先を突き立て、その先端を何度も何度も走らせていった。その度に切り裂かれた皮膚からは血が滲み、時にその赤い雫が飛び散った。
失血死にならぬようギリギリのラインで薄く刃を入れては苦痛に歪む柳田の表情を見て舌舐めずりをしながら悦に浸る。
もうかれこれ十数回、同じ事を繰り返され、柳田の上半身は既に傷だらけになっていた。
ほんの五分、十分の出来事の筈なのに、柳田にはそれが何時間にも引き延ばされている感覚で気が遠くなりそうだった。
「も・・・ もう止めてくれ・・・」
弱々しく懇願する。傷口がズキズキと疼いた。
「綺麗な身体を傷物にされた気分はどうですか? 薄く切られると傷口が痛痒いでしょう? ふふ、今回はいつも以上に時間を掛けようと思ってるんですよ。あなたはね、まさにフランス料理で言うところのスペシャリテだ。普段より繊細に、丁寧に、たっぷりと時間を掛けて少しずつバラしていきますから。きっと柳田さんも驚かれますよ。〝ここまでバラされても人間は生きていられるのか〟・・・とね。そして————」
〝ドンッ!〟と言う音がした。一瞬何が起きたのか理解が出来なかった。次の瞬間—————
「———っがああぁぁぁぁぁぁぁあああああっ!!!」
耳を劈くような絶叫が室内に木霊した。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2022/1/31 2:22
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
華月雪兎-Yuto Hanatsuki-
皆様初めまして。華月雪兎です🐇
「雪」に「兎」と書いて「ゆと」と申します💡
現在は掌編、SS、短編から中編サイズの小説を書かせて頂いております。
恋愛系短編集
『恋愛模様』
ミステリ/ホラー系短編集
『怪奇蒐集録』
をエブリスタ、Noveleeにて不定期連載中📖🖊